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ペルーの生活と家族について(鏑木玲子さんお話会2)

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鏑木玲子さん一時帰国にあわせて開かせていただいたお話会。
前回の編み物に続き、ペルーでの生活についてお聞きしました。

鏑木さんが女性達に編み物を教えているリマのカラバイヨという地区。
そこには、アンデスの山岳地帯や、アマゾン流域から職を求めてでてきた人々が多く暮らしている。
経済が発展するペルーの首都リマの中心から少しはずれた、貧相層が暮らすエリアです。

「人が住むには、危険な場所ですね。皆、山の上に家を建てるのですが、
家に行く道はとても急ですし、大きな岩があるので危険です。」

玲子さんが編み物を教えている場所はここです、と皆さんに写真を見せると

「えーー!ここなんですか?」と参加者の皆さんは驚きを隠せない。

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(写真をよく見ると、両脇から支えられて山道を登る玲子さんの姿が)

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吉田は、この後ろをゆっくりゆっくり滑らないように、上っていました。

「住みやすくするために、住民同士の話合いも必要だと思うのですが、なかなか出来ていませんね。元々出身地が違うから、共同体としての意識が低いのかもしれません。ペルー政府もあまり協力的とは言えませんし・・・。
けれども、最近は地域のニーズとして階段ができたり、少しづつですが家庭菜園を始めているところもあります。やはり生活しやすい環境を主体的に作るという意識と行動が大事ですね。」

家族のこと

もう一つ、玲子さんが頭を悩ましているのが、編み物をしている女性達の家族の問題。
女性たちは編み物をすることで、収入を得られるようになったが、
夫がそれを快く思っていないケースが多いのだという。

「女性が稼ぐこと、自立することを、プライドが許さないのかもしれないですね。
 中には自分が稼いだお金を家に入れなかったり、奥さんを家へ入れない男性もいるんです。」

皆さん、ペルーの家族問題について初めて知り、驚き一瞬言葉が出ない。

「女性が稼ぐことで、子供はより高い水準の教育を受けられるようになりました。
 より高いといっても大学に行けるわけではなく、職業訓練校などです。
 しかし、それに嫉妬して、学費の支払いを拒む父親もいるのです。」

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「女性達はほとんどの場合、子どもの教育と、健康の治療にお金をあてます。
 自分で稼いだお金ですから、女性としては自分の思うように使いたいですよね。」

参加者の人からさまざまな疑問の声もあがる中、
「ペルーの女性は強い人が多いですね。」という一言に、皆さんうなずくシーンが印象的。

玲子さんの苦悩は続くが、今彼女に出来る精一杯のことは女性達の話を聞き、
そしてアドバイスをあげること。

「皆それぞれ、色んな悩みを抱えています。夫のこと、子供の将来、自分の健康・・・
 けれども編み物をしているときは、一度そうした現実を忘れて、皆黙々と、楽しそうに、おしゃべりをしながら編んでいるんですよ。」

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経済的な自立と、心に穏やかさを生み出す、ムへレスウニダスの編み仕事。

一筋縄ではいかない問題や不満を抱えながらも、
玲子さんは、女性達に忍耐強く寄り添い続けています。

(鏑木玲子さんお話会3)『編み物を続けること』
(鏑木玲子さんお話会1)『ペルーと日本の編み物について』

鏑木玲子さんと女性達が作っているアイテムはこちら


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